読書日々 1649 トイレ本の昨今

◆240628 読書日々 1649 トイレ本の昨今
 朝からあまりパッとした話題ではないが、トイレ本のことだ。ただし、わたしにとってはとても大事な案件である。「馬上、枕上、厠上」という。読書に好適な3条件だ。30代、関西各地の大学で非常勤講師を務めた。はじめは、定職がなかったからだが、定職についても、給与は低かったので、非常勤講師をやめるわけにいかなかった。
 それで、「馬上」ならぬ「電車上」が、私の最大の読書空間となった。月から土まで、通勤時間が4~5×6=X時が、読書に専念出来るからだ。およそ13年、あれも読み、これを読むことが出来たのも、通勤電車の「おかげ」であった。
 この建造物、築40年になる。長沼に居を移し、2016年に生家跡に建ったこの建物の、この部屋に「戻って」(?)きた。長沼は、バラックで、冬は寒い。トイレが特に厳しい。長居は出来ない。それに暗い。トイレ本で、難儀した。それで、この部屋では、トイレに明るい電灯と、本を置く台をセットして貰った。最適の読書空間になったように思える。
 2016年、念願の『日本人の哲学』(全5巻・全10部)を上梓し、再びミステリー耽読に身を寄せた。ほとんど枕上ならぬ、寝そべる読が厠上読に次いだ。馬上はゼロ。おかげで、腰を痛めた。眼を痛め、指が麻痺すると、パソコン操作が辛いというか、むつかしくなる。でれでも、筆や、万年筆、鉛筆で書くよりずっと楽だ。
 そのトイレ本の「現在」は、7冊、①山村正夫(1931~1999)『推理文壇戦後史 Ⅰ』(双葉文庫)。楽屋落ちの話しがほとんどで、ひまつぶしにはもってこい。ミステリ作家には、奇態な人が多い。作品よりも本人が「ミステリ」の過半を占める。私は『日本ミステリ事典』を手元に置いて、ときどきの作家の作品に注目しているが、ただ『盤上の向日葵』(中公新社 1917)の柚月裕子になると、作品も本人も、お手上げ。ま、グーグルを引けば、OKなのだが。でもやはり、新保博久監修の註にあたりたいね。
 ②倉橋由美子『大人にための残酷物語』(中公文庫)、③鮎川哲也編鉄道ミステリー傑作編『急行出雲』(光文社 1985)、④同編『見えない機関車』(光文社 1986)、⑤『水木しげるの「雨月物語」』(河出書房新社)、⑥宮崎市定『論語の新しい読み方』(岩波書店 現代同時代ライブラリ 1996)である。全部、贔屓の作家だ。何度でも読む。すぐ忘れるが。