◆170217 読書日々 817
マイ・ウェイ
1 とんでも面白く、有意義で、かつ明快な本を「仕事」で読んだ。川勝宣昭『日本電産流V字回復経営の教科書』(東洋経済 16.12.15)で、ちょうど300頁の分量だ。3日読むのにかかった。10年間、経営誌『理念と経営』に連載してきた書評本の中では、ドラッガーと比肩する本と思える。もちろん企業経営分野だけでなく、どんな分野でも応用可能な、本当の意味での「how to」本である。
著者の「日本診断」:「失われた20年とか30年」という病歴は無視していい。最近「限界集落」という言葉が一人歩きしている。40年以上「限界集落」に住み続けてきたわたしは、ここに少しも「限界状況」を感じなかった。著者が診断し、目指すべきだと書くのは、どんな人・場所・ときでも通用する、とりわけ個人個人の「人生」をどう生きるかに役立つ、PDCA(plan,doing,check,action)行程を、「誰にでも見える」ように(「見える化」)することだ。日本電産を創業から40年で1兆円に押し上げた、奇跡の経営者の思考と行動がモデルになっているが、誰でも実戦可能なハウ・ツが示されているのだ。すぐ買って、必ず読んで、(実践して)欲しい、と言視舎の杉山さんと、元助手の井上さんにメールを打った。ちなみに日本電産の重森の標語は「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる。」で、赤字会社(40社)を買収し、1年で黒字に転じる、まるで奇跡のようなことをやり続けてきた。
2 『日本人の哲学4』の見本刷りが今日できる。日曜日には、手元に届くのではないだろうか。2頁分の「あとがき」スペースを貰った。
〈 日本人の哲学4 あとがき
およそ10年前、本書(全5巻全10部)を、75歳まで書き上げ、出版する、と企図した。無謀な試みに思えた。だがちょうど『人生の哲学』(海竜社 2007)を書き終えた直後で、目算(Contents)を立ててみた。かなりスームースに立ったのだ。『昭和思想史60年』(三一書房 1986)のときとおなじようにだ。でも、1・2巻にはかなり手間がかかった。コンパクト(簡単明瞭)に書きすぎては台無しになる、と思えた。何しろ、日本の代表的哲学者と文芸作品の紹介と論評である。何とか切り抜けることが出来たのではないだろうか? あとも一瀉千里というわけには行かなかったが、毎年一冊というノルマを果たすことが出来た。
なぜ、今、グローバルの時代に、「日本人の哲学」なのか、という疑問を抱かれるかも知れない。本書でつねに心がけなければならなかった論点だ。アテネオリンピック直前、ギリシアに行って、まず感じたのは、古代アテネ哲学と現代ギリシア人とはほとんどつながりがない、ということだった。日本人でも同じではないか、と思われるかも知れない。だがレジェンドに対する態度が、かの国と日本では、およそ異質なのだ。日本には歴史との連接がある。あらためて日本人の「哲学」の遺産を、日本人が明確にしなくて、だれがするのだ、と自分につきつける毎日であった。本書全5巻がその解答である。
この間、疲労困憊することはあった。だが、充実していた。もちろん、書こうとしたが、書けなかったことがある。少なくない。たとえば「統計」(小島勝治)については、準備もしたが、仕上げることが出来なかった。残念だ。それでも20代で哲学を志し、講壇(大学)哲学を抜けで、「愛知」の世界にさまようこと40年余、ようやくわたしなりの「哲学」観とその内実を提出することが出来た(ように思える)。多くの人のおかげだ。
学知の先輩諸氏の名はすでに各巻で挙げたので、ここでは二人の名を挙げるにとどめよう。一人は妻の規子だ。家事育児を完全免除してくれ、好きなことを好きなようにするに任せてくれた。長いことありがとう。いま一人は、10年間私設助手を務めてくれた井上美香だ。井上さんの助力なしに、ここまでたどり着くことは難かった。
最後に、出版に終始力を尽くしてくださった言視舎の杉山尚次社長とそのスタッフのみなさんに深甚の謝意を表したい。ありがとう。
幕は閉じられた。
2017年1月末日 雪深い馬追山最後の冬に 鷲田小彌太〉
3 『日本人の哲学』(全5)はわたしのPDCA(を回す)=MY WAYそのものであり、MY LIFE である。