◆170224 読書日々 818
飯綱落としを知ってる?
1 30年余住んだところだ。文字通り仕事場であった。移動するとなると、大変だ。ホームグランドの移転である。書籍はもうほとんどがどうにもならない。これは致し方ない。谷沢先生の20万冊に上る書籍の移動は、想像を絶する。渡部昇一先生の同じ数の書籍と稀覯本は、さらに大変に違いない。わたしの如き量で、右往左往する必要は毛頭無い、と自分に言い聞かせるが、どうもそういうものではないらしい。
ただいまの心配事は、PCとTVだ。ともに息子の助力というが全面支援が頼みである。ただし、PC製品もTV界も、変わり目で、不安定ということだ。ま、急ぐ必要はない。流れに順うしかない。
2 気ままな読書のスタイルを長く忘れてきた。取り戻そうとするが、「仕事」の方につい気が向いてしまう。まずい。
川副秀樹さんの東京「発掘散歩」シリーズのフアンだ。磐音の佐伯泰英は、古地図を眺めていると、時代小説の主人公がおのずと羽ばたく、というようなことを語っていた。これは事実で、わたしでも、「福沢諭吉の事件簿」を執筆する時には、江戸切り絵図や京・大坂の古地図ばかりでなく、最近の地図をたどりながら、登場人物が、例えば竜馬がひそかにたどる道筋を予想している。ちなみに福沢諭吉、坂本竜馬、五代才助(友厚)は、同じ歳で、長崎がその活躍の基点で、五代をなかにはさむと、周知の間柄になる。それに3人とも健脚であり、海路もこなした。
川副『浅草と高尾山の不思議』(言視舎 16.8.31)は、長いあいだ机の端に積んであったが、手に取る機会に恵まれた。「東京を再発見する大人の旅」と副題されているとおり、『東京「消えた山」』(2012)、『東京「年輪」』(2013)、『東京の「街道」をゆく』(2015 ともに言視舎)と同様、東京「再発掘」シリーズに連なる。
一つだけ、つかみだ。白土三平の『サスケ外伝』に頻繁に登場する忍者サスケの十八番、「いづな落とし」の「飯綱」とは、高尾山の本尊(飯綱大権現)と関係ある、長野の飯綱山に発する、修験者が修行でえた一種の武術・忍法を伴うものだ、と冒頭近くに書かれている。まさに「つかみ」で、わたしのような歳のものには、この蘊蓄(? 失礼!)で、一気に引き込まれてしまう。
著者は、一作、一作の積み重ねで上手くなってゆく、飛躍する、といわれるが、ビジネスとしての神社仏閣の彩りを、このに2観光スポットで存分に満喫させてくれる、川副さんの手腕に脱帽。こういう本が「埋もれて」は困るね。
3 トランプ・安倍首脳会談に、「満額回答」(山猫日記 2.13)という評価を与えた三浦瑠麗(るり)の新書版を購入した。『日本に絶望している人のための政治入門』(文春新書 2015)と『「トランプ時代」の新世界秩序』(潮新書 17.2.1)だ。分析や評価には、大枠賛成だ。この人、映画解説のような、視覚化して語るのが上手い。ただし、理論的に語るのはまだまだ難しいようだ。じっくり読む段になると、中味が薄くなる。ま、こういうところが、歯切れ良く語っている(かのように見える)、木村太郎にも突っ込むことが出来る、三浦のポイントなのだろうが。
4 時間があれば、三宅雪嶺の、生前出版されなかった4部作を必死に(?)に読んでいる。誰も内容にまで紹介していないからでもある。全7冊、4000枚を超える。おそらく、といったら語弊になるが、わたし以外に「読む」人などいないのではないだろうか。そう思いながら、必死(!?)にたどっている。「人類生活」の哲学的百科全書(エンチクロペディ)の開陳だ。雪嶺の主著『宇宙』の展開、真善美と生活(life)総体の提示である。これを主宰する雑誌、旬刊『日本及日本人』と後続の『我観』に、各回20枚、総計4000枚余を連載したのだ。すごいというか、超人である。だがその内容はどうか? 紹介・解説はないのだ。