読書日々 893

◆180805 読書日々 893
三重短大の元同僚、山田全紀さんと会う
 1 またまた2日遅れの日記となった。3日、急に涼しくなったからではないが、福沢諭吉の事件簿に戻ったからでもある。金玉均のクーデタ失敗に思考の主戦場が戻った。ならびに月脚達彦『福沢諭吉の朝鮮』(講談社選書メチエ 2015)、月脚達彦訳注『朝鮮開化派選集』(東洋文庫 2014)、宮脇淳子・倉山満『真実の朝鮮史 1868-2014』(ビジネス社 2014)を再読しだした。金の甲午政変失敗で、金党の独立・文明開化を後押ししていた諭吉が重大な分岐点に立たされた時期で「脱亜論」を執筆する契機となった。かつて「幕臣」福沢諭吉が、「幕府による文明開化」路線、基本的には小栗忠順のプランに沿って思考・行動したときに立たされた「試練」と同じ羽目に陥ったといっていい。
 ここを諭吉はどう突破したのか、あるいはできなかったのかの道筋がようやく見えてきた。そんな「焦り」も手伝って、もう一度草稿を手直ししだしたときで、起きてすぐ、早朝から仕事を始める年来の癖が躓きのもとになった。バカになりつつある頭だからはかどらない。ルーティン(習慣)をつい失念してしまい、日曜日の目覚めとなった。ここに来て、何か欠けていた、とようやく気がついた次第だ。恥ずかしいが、仕方ない。
 2 もう一つ理由がある。8/1、夜8時過ぎ、電話があった。三重短大のときの同僚、同じ札南高(5期下)出身で哲学専攻の山田全紀さんからからだ。三重の津からお出ましで、居酒屋で飲んでいるという。さっそく出かけることにする。9:30ころ「きらく」でということにした。妻に送ってもらい、妹の店でしばし飲・歓談。山田さんとそのお友達、かなり酔っている。3日(金曜)に再会することにした。そび日が金曜だった。すっぽり「読書日々」のことが頭から抜け落ちてしまったわけだ。
 山田さんの帰札で、2日学友が集まり、大通りのビヤガーデンで飲むということだった。3日に会ったとき、2次会に行った居酒屋がよかったという。そこで札南卒の山崎に会い、鷲田も来るという。その店、すぐに行きつけの「タパス」だとわかった。寿司を少しつまみ(今日のネタは余りだった)、客のいないバーサンに行ってひさしぶりに山田さんのカラオケを聴いた。相変わらず上手かった。というかユニークぶりが変わっていない。割とはやく山田さんたちと別れ、妻の迎えを待つ間、「桂」に寄った。
 3 8月はお盆で、下の娘は引っ越しをし、上の娘一家が帰省する。末妹の3娘たちも集まるという。おそらく孫4人もやってくるだろう。それに長沼陽風学園の元職員3人が遊びに来る。なかなか華やかになりそうだ。妻のほうは大忙しだろう。ま、わたしはわたしのいつものペースで私室に盤踞するにすぎないだろうが。
 そういえば、今日・日曜、とても涼しい風が吹いている。ひさしぶりに長ズボンと中袖のシャツを着ている。皆さん、四季がくっきりある札幌に住んではどうですか。気候だけをとりだしても、世界一の都会ですよ。
 4 江戸川乱歩は書誌家・編集者としてもというか、こちらの方が本業であるという活躍をした。鮎川哲也は、小説はもとより、アンソロジスト(傑作選者)としての活躍がめざましい。代表作は、なんと言っても「鉄道ミステリー傑作選」で、カッパ・ノベルズ『下り「はつかり」』『急行出雲』『見えない機関車』(光文社)だ。文庫版で再刊されたが、この新書版でなくてはならない。カットが素晴らしい。なお鮎川さんの解説を読むだけでも価値がある。それに、この人、通常生活ではおそろしく「ものぐさ」で、自分で切符を予約したりスケジュールを調整するなど「できない」(したくない)くせに、丹念にプロの作家にならなかった「幻」の探偵作家の尋訪記を試みている。こういう作業は「研究」者や「穿鑿」屋の仕事とされる場合が多いが、誰もしない。しかし作品だけを残したまま、その本名も、ゆく方も知られていない書き手を探し、尋訪記を書くのは、ちっとやそっとの熱意では叶わない。
 鮎川が、世紀のアンソロジストで本格推理作家エラリ・クイーンを尊崇している意味は、稀代の探偵小説好きであることからも来ている。その鮎川の生誕100年が来年だ。どんな収穫が飛び出すか、いまから楽しみだ。なお鮎川の尋訪記は、『幻の探偵作家を求めて』(1985)『こんな探偵小説が読みたい』(1992)に収められている。ともにかつての晶文社の美装本で出ている。手に入るうちに買って耽読すると、ミステリ好きになるよ。