読書日々 710

◆150206 読書日々 710
東京「発掘」を読むと、自分が飲み歩いた足跡がわかる!?
1 ときに上京する。30代のもっともハードなとき、女房が伊賀の上野から新宿まで月1で送り出してくれたときにはじまる。ガス抜きにだ。したがって40年にもなるか。多くは編集者と会うことを目的としていたが、素寒貧のときも、多少は潤沢なときも、ゴールデン街、神田、飯田橋、新橋等々、ときとところを選ばず飲み歩くのが常だった。だが「『異界』発掘散歩」という副題をもつ、川副秀樹『東京の「怪道」をゆく』(言視社 14.12.31)をめくっていると、案外とというより、随分と東京中を歩いていることがわかって、一瞬唖然とした。それもほとんど一人でだ。
 たしかに、「福沢諭吉の事件簿」を書くために、芝から鉄砲洲まで、真夏のさなか、諭吉の足跡を追って、ふらふらと歩いたことがある。そういえば、40年間定宿のある御成門あたりを、早朝、何の目的もなく歩き回ることをつねにしてきた。最近、虎ノ門ヒルズがたち、マッカーサーの名を冠した大きな通りができた。新橋の飲み屋街にも近い。八重洲、品川、恵比寿、渋谷と、飲み屋や会う人間が変わるたびに、足の向き具合も異なる。雑多なところを「探索」(?)していて当然だろう。
 それにしても、川副さんの「発掘散歩」という総題をもつシリーズ本の3作目は、マニヤックが堂にいって、興味尽きない。博識(うらやましいほどの雑識?)には恐れ入るが、なによりも結構なのは、地図と写真と本文が三位一体というべきか、じつにわかりやすいのである。わたしの愛読書(?)の一つは、宮脇俊三編著の『鉄道廃線跡を歩く』(JTB)等々である。こちらも地図が命だが、ほとんどは1/5万の実図で、かえってわかりにくい。(ま、老人目という理由もあるが。)対して川副さんのは、手書き(?)である。この図をもとに、歩けるのだ。目視したものを思い起こすことができる。
 NHKの「ブラタモリ」は、さすが地図男タモリと金満NHKのコンビだけあって、半端じゃなかった。なによりもよかったのは、半端なタレントが「美食」と称して食べる場面が頻繁に出てこないことだ。「食タレ」も彦麿呂以下、ビュウティではないね。川副さんのような物識りが、博識ぶらずに、後景的に案内するBS「発掘」番組などがあれば、大食い、B級グルメ、「放浪酒場」等に食傷気味のTVじじいには、ありがたいね。
 この3作目は、隅田川が主役である。ただし、本所・千住と並んで登場する麻布七不思議、狸穴(麻布十番)付近について古いことを少し思い出した。小学4~6年の担任、斉藤日路美先生が大学に進むため、家族ごと上京した。たしか大学受験(浪人)の時だったのではないだろうか、小学の同級生と一緒に、先生の家を訪問した。狸穴のソ連大使館を見下ろせる立派な一軒家だった。ソ連全盛期だ。何か先生が不穏なことにかかわっているのかなと思えた。のち大学に入ってからもういちど訪問したときには、地下鉄が開通したばかりの用賀に住んでおられた。その狸穴は、いまでは近接の六本木と並んで東京のハイクラスの名を得ているが、東京オリンピックの前である。古くて人気のない、陰気なところで、まさに「まみあな」であった。
2 プレジデントムックのdancyu『日本酒。』(14.10.14)を久しぶりに書店に行って買った。いつもは新刊も古本も通販で買っている。杜氏の後継者難を解消するために、蔵元の後継者が醸造技術者になって新酒を開発するさまが特集されている。「北の勝」の冷やおろしが、根室の娘婿親から毎年贈られてくる。原酒だ。ほとんど市販されない限定品で、18~19度ある。若いときは強い日本酒が好きだった。伊賀の青山の「若戎」の原酒をわざわざ蔵元までに行って買った。冷酒が抜群にうまかった。しかし、年をいったからなのか、原酒はつらい。ワインぐらいの度数でもいい。そう思える。ときに水を加えて飲むが、もったいない。もともとアルコール度の高くない醸造酒を飲みたい。そう思う。
 東京の寿司屋で「新政」を飲んだが、まさに「新酒」(?)であった。あまり削らず、米の持つ風味を大事に古い麹で醸造するそうだ。このムックを読むと納得しそうになる。ま、ただの新しがり屋かな。
3 『巨人ドラフト1位のその後』(宝島者 211)を楽しみにして読んだが、がっかりだ。「才能」発見は困難ということか。プロに入る選手は、すでに選ばれた1‰、1000分の1だ。それが競争で1/100の確率になる。天才は、10万人に1人ということか。こんな平凡なことがストーリー化されている。
 *昨日、やり方を間違えアップできませんでした。