鷲田小彌太 書評集成Ⅰ[1983-1990]蘇る1980年代(言視舎)

9784905369042

ページをめくると80年代! そのとき――ソ連や社会主義はまだ死語ではなく、消費をキイワードに、日本社会はバブル絶頂期へ駆け上がっていた。 時代精神を体現する名著、一世を風靡した流行の書ほか、読書人の「懐かし中枢」を刺激する本、満載。

【わたしにとって書評は「仕事」であった。仕事の中心にあった。「本を読むことは世界を読むことだ」といったのはイギリスの哲学者、T・ホッブズである。わたしはこの言葉を愚直に信じ、本を読み、味わい、論じてきた。 仕事であるからには選り好みしない。どんな注文にも応じる。これがマイ・ウェイである。もちろん書・評である。書に即(つ)く。書の発見・発掘である。同時にそこに自己発掘、新しい自己発見のエネルギーがなくてはならない。書の発掘と自己発掘が火花を散らしてはじめて書・評、書を表現する行為が読書の真情に訴えかけることができるのではあるまいか。まえがきより】

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 まえがき
【Ⅰ】単独書評(1983-1990年)
 1 食を語って死におよぶ
 2 ソ連における黒幕政治の力学
 3 ノンフィクションの流行
 4 トーキョーを読む三冊の本
 5 書評の愉しみ
 6 苛烈と余滴  
 7 社会科学再生への重量級的試み
 8 ヘーゲル左派論叢(全四巻)の刊行
 9 青春像書き続ける寺久保文学 
 10 夫の獄死後逆境を歩む 
 11 八柳のエッセイは滴り落ちる言葉の雫
 12 書評を通じて時代を読む
 13 夢現つの世界を楽しむ

【Ⅱ】「今月の本棚」 月刊「潮」(1987~1988.)
 1 ソ連を知るための三冊の本  
 2 政治を読む 
 3 大前研一、堺屋太一、長谷川慶太郎を読む 
 4 マンガで読む経済とブッダと憲法と 
 5 女たちの戦争体験 
 6 生と死を考える本  
 7 人類の危機を読む 
 8 いま話題の三冊の本 
 9 情報化時代を読む  
 10 ナチュラリスト文学を読む 
 11 家族を考える三冊の本  
 12 箴言、警句三冊の本  
 13 人生の無常を読む三冊の本 

【Ⅲ】「旧刊再読」 (1984.~1987.)
 1 和田誠『お楽しみはこれからだ』
 2 林達夫・久野収『思想のドラマトゥルギー』
 3 丸山真男『戦中と戦後の間』
 4 エイモス・チュツオーラ『やし酒飲み』
 5 粕谷一希『二十歳にして心朽ちたり』
 6 今村仁司『歴史と認識』
 7 中岡哲郎『イギリスと日本の間で』
 8 谷沢永一・向井敏・浦西和彦編『コレクシオン開高健』
 9 デズモンド・モリス『裸のサル』
 10 桑原武夫対談集『人間史観』
 11 V.E.フランクル『夜と霧』
 12 谷沢永一編『なにわ町人学者伝』
 13 イリヤ・イリフ、エウゲニー・ペトロフ『十二の椅子』
 14 ステヴァレ・ハヴェリヤーナ『暁を見ずに』
 15 ファーブル著/林達夫編訳『昆虫と暮らして』
 16 鶴見良行『マングローブの沼地で』
 17 久生十蘭『顎十郎捕物帳』
 18 向井敏『晴ときどき嵐』
 19 鯖田豊之『水道の文化』
 20 椎名誠『岳物語』

【Ⅳ】「本と人と」(1988.~1989.)
 1 向田邦子の仕事
 2 三島由紀夫の「仮面」
 3 司馬遼太郎をゆく
 4 立花隆の「研究」
 5 梅棹忠夫の思想「生態学」
 6 山本周五郎は残った
 7 大西巨人の『神聖喜劇』
 8 向井敏の「文章読本」
 9 いいだももの万能ぶり
 10 村上春樹の踊り方(ダンスダンス)
 11 丸谷才一・短文はむつかしい
 12 森嶋通夫の頭脳流出
 13 田辺聖子のかたり

【Ⅴ】「大衆小説の世界」 (1989~1990.)
 1 海野十三の科学小説
 2 岡本綺堂の半七捕物帳
 3 隆慶一郎の時代小説
 4 吉本ばななの主題は死
 5 筒井康隆の唯の教授

【Ⅵ】「今月の文庫三冊」 1990.年)
 1 隆慶一郎『吉原御免状』・桐生悠々『畜生道の地球』・長谷川慶太郎『関東平野は世界の心臓』
 2 廣松渉『<近代の超克>論』・田中康夫『ぼくたちの時代』・J・C S・スミス『少女が消えた街』
 3 開高健『耳の物語』「破れた繭」「夜と陽炎」・『ラ・ロシュフコー箴言集』二宮フサ訳・高橋克彦『闇から来た少女』
 4 内田百閒『新・大貧帳』・宮崎市定『中国政治論集』・寺尾五郎『中岡慎太郎と坂本竜馬』
 5 小林信彦『1960年代日記』・平井吉夫編『スターリン・ジョーク』・霍見芳治『脱日本のすすめ』
 6 『柳田國男全集9』・吉本隆明『西行論』・田中芳樹『七都市物語』
 7 松田道雄『ロシアの革命』・曽野綾子『永遠の前の一瞬』・村上元三『加田三七捕物帖』
 8 正村公宏『戦後史』・山田風太郎『神曲崩壊』・池波正太郎編『鬼平犯科帳の世界』
 9 『漱石日記』『漱石書簡集』・夢枕獏『倒れて本望』・林屋辰三郎『町衆』
 10 司馬遼太郎『街道を行く27』・開高健『人とこの世界』・南伸坊『ハリガミ考現学』
 11 三浦綾子『わが青春に出会った本』・柄谷行人『マルクスその可能性の中心』・種村季弘『詐欺師の楽園』
 12 井伏鱒二『川釣り』・丸谷才一『鳥の歌』・小川和久『情報フィールドノート』

索引
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