◆140912 読書日々 689
ミスリード misreadとmisleadの二重責任が朝日にはある
1 6/10~12未明まで、わたしの住む地域をほぼ例外に、室蘭、苫小牧、石狩、空知全域に、「暴雨」(大台ヶ原では文字どおり「棒雨」)が断続的に降った。35年前、家族で帰省中、石狩平野が、広域にわたって三日三晩降った雨で、石狩・夕張・千歳川が氾濫して、1メートル以上埋没した。さらにさかのぼれば、1950年、豪雨で豊平川(札幌)、厚別川が決壊し、わたしの住む厚別の水田地帯が埋没し、わたしたちの所も床下浸水した。「暴雨」とは、30数年に一回、毎時50~100ミリの雨が降る現象のことをいうと辞書にあるが、この周期は今回のボーウに当たる。水害30年説は、わたしの経験則にぴったりあう。
1961年、大阪で浪人中、第2室戸台風に襲われた。59年に5,098人の死者・行方不明者を出した伊勢湾台風の後だったから、大阪では第二伊勢湾台風などとも呼ばれたが、はじめて台風のすさまじさを身近に知った。瓦が飛ぶのである。橋という橋が水没し、大阪中の地下が泥水で埋められたのだ。予備校の教室の臭さがすごかった。
2 もう一つ、暴雨に等しいことが起こった。
9/11 朝日新聞が社長、編集担当と広報担当の取締役の三人が、記者会見で、①「吉田(昌)調書」に関する誤報、②吉田清治氏(故人)の証言は虚偽でそれにもとづく報道は誤報、として取り消した。あわせて③池上彰のコラム掲載拒否について、その誤りを謝罪した。
①は単純な誤読(ミスリード misread)である。
②は、1982年以来、吉田清治の講演や『私の戦争犯罪』(三一書房 1983)等の「虚偽」を見抜けず、むしろその証言をもとに「慰安婦=強制連行=性的奴隷」を記事にし続け、産経や識者の批判にもかかわらず、その記事の検証を怠り、2014/8まで訂正を放置し、訂正しても謝罪しなかった。
③は、言論弾圧は許せない、といっているが、朝日の池上のケースにかぎらず、どの新聞雑誌にもよくある事例だ。わたし自身、新聞雑誌の依頼原稿を掲載拒否されたことは何度もある。もちろん、訂正を拒否したら、掲載はされたが同時に反論記事が載ったこともある。わたしの経験では、朝日から訂正や掲載拒否はされたことがない。
わたしは朝日や北海道新聞の「主張」や「報道姿勢」に疑問をもち、批判もしてきたが、いままで朝日と、北海道に戻って30年余、道新とを取ることをやめたことがない。朝日の記事が他紙と「比較」して質がいいからだ。道新の記事は北海道関連の記事では群を抜いて詳しいからだ。読売、毎日、日経それに夕刊紙を断続的に取ってきたが、是非とも必要はないと、取るのを辞めてからかなりたつ。
朝日にかんしていえば、執筆者にも気を配っている。わたしの知っている人はわずかだが、記者、編集者の質も他紙と比べるとかなり高いように思える。よく読まれ、影響力がある一因だ。
それで、問題はこれからだ。
なぜ①のような、「吉田調書」の実物を読んだ者なら生じようもないミスリードが、生じたかだ。この検証を明解にしなければならない。この誤報が世界に与えた結果は甚大だ。しかしはやかれおそかれ、解消可能だ。
②は質は違う。92年、産経が吉田清治証言に疑義を質して以来の問題だ。朝日はその後、産経の疑義や批判を無視した。大小、多少に違いはあれ、読売・毎日・日経・中日・道新も、朝日に追従してきた。
(1)朝日の慰安婦問題に関する報道が、日韓をはじめ国際関係に与えた影響(悪影響)は計り知れない。朝日はまずこの払拭を最大限はかる必要がある。
(2)「慰安婦問題」は日本特有の問題ではない。全世界の問題だ。だが日本は例外ではない。ビジネス(売娼)問題、人権の問題で、戦時非戦時下にかかわらず、どの国、どの地域にもある世界共通問題なのだ。これではすまない。日本固有の歴史問題でもあるからだ。前者に重点を置いて、後者も明らかにし、報道して行くことが朝日の重要な課題になる。
(3)「人の口に戸は立てられぬ」というように、misreadされた「慰安婦問題」を「日本=女性抑圧の国」へとミスリード(mislead)し、定着した流を元に戻すのは、容易なことではない。しかし「人の噂も七十五日」でやり過ごせる問題ではないのだ。