読書日々 699

◆141121 読書日々 699
2014年の「総括」ができたような上京だった。すたすた歩けたよ
1 11/17~19、3ケ月ぶりに上京した。17日、昼に三州屋(新橋)で、岩崎さんと二人で楽しく飲んだ。ビール、日本酒と快調に飲んだ。12月の友の会の忘年会出席、岩崎(藤沢在住)さんも遅くまで飲んで泊まるならOKといってしまい、再上京することになった。夜は武鮨で文芸社の佐々木編集長と会う。『寒がりやの竜馬』の出版、OKもらう。PHPの阿達さんを呼び出し、いつもより暇な店を出てバー・ブック(銀座)へ。客の顔が全員ようやくわかるようになったが、はじめて市川さんという名を刻み込んだ。
 18日、聖路加公園内のホテルで、昼に海竜社の下村社長と林編集者に会う。ヒルティの『幸福』をネタに一冊注文があって、仕上げてお送りしていた。林さんはびっしり付箋のついた原稿を持参していたが、話はもっぱら物書きのああでもあるこうでもないの話。社長は相変わらず元気。会うと、このわたしに発破をかける。林さんは初めての出会いで、前は北國新聞にいたそうだ。次もすぐ書けといわれたが、今回の売れ次第というところだろう。
2 夜は有楽町・日比谷の塩竃・酒場「三代目文治」で言視舎の杉山さんとお会いする。見本刷りの新刊、拙著『どんな論文でも書けてしまう技術』 (言視BOOKS 14.11.25)を手にした。『入門・論文の書き方』(PHP新書 1999)の改版で、ビジュアルな造りになっている。「知の実用書。 600字の短文が書ければ、30枚の論文が書ける!  30枚書ければ、1冊書ける!  挫折するのは「失敗を約束された方法」で書いているから。 論文を書くためのAtoZを完全解説。いきなり書ける気になる1冊!  イラスト多数」という帯がついている。 杉山さんがいるから退職後の「仕事」のめどが立ったという、いわば恩人だ。途中で娘婿の貴雄君がきた。だが風邪で、牛タンとおでんをひとしきり食べて、帰った。残念。寝具(?)のエアウィーヴのマネジャーという名刺をはじめてもらったが、ずっと外資系会社を渡り歩いて(?)いる。年末には長沼にやってくるそうな。いつものようにバー・ブックへ。
3 19日、プリンスホテルで、10時にライターの荻野さんとあう。定宿から近い。坪松博之『壽屋コピーライター 開高健』(たる出版 14.4.30)のインタビュー・書評の仕事だ。荻野さんはすでに『サバイバル副業術』(ソフトバンク新書 2009)等をもっている物書だ。坪松さんの本は、とてもよくできている。サントリーの佐治さんの特任「大使」を演じ続けた開高を見事に描ききっている。かつてもこれからも大会社の「提灯持ち」(a write-up)を演じきった芥川賞作家、あるいは世界バリューの作家は現れないだろう。しかしもっと羨ましいかったのは、この版元「たる書房」の装丁のよさである。羨ましいというか、恨めしいほどのできばえだ。荻野さんとは大門の武鮨で軽く飲んで分かれ、飛行機までの時間があったので羽田で頂戴した新刊、野中郁次郎さんとの共著『史上最大の決断』(ダイヤモンド社 14.5.29)を読みはじめた。翻訳物と違い、100ページ程度しか進んでいないが、叙述がじつになめらかだ。面白い。大冊なのに、すでに4刷いっているという。すばらしい。
 KKベストセラーズの編集者、室蘭出身の小笠原豊樹さんから贈られた、副島隆彦『説得する文章力』(ベスト新書 2013)を上京中持参し、遅ればせながら読んだ。わたしとは最も遠い書き方の作家だ(と思う)が、説得力抜群の本だ。圧巻は「駄文」や「蒙論」に「筆誅」(添削)を加える箇所だ。「もし……ならば」の文を綴って、「放射能コワイコワイ」を宣伝する小出裕章(京大助教〔=助手〕)が、福島第一原発が「メルトダウン」を起こした、と喧伝してきた。メルトダウンは起きたが、水蒸気爆発は起きなかった。非常に運がよかった。水蒸気爆発が起きれば、……首都圏も壊滅状態になる、といってもきた。
 だが、副島は、メルトダウンはなかった。水蒸気爆発もなかった。水素爆発はあった。建屋が吹っ飛んだ。原子炉は「損傷」したが、「破壊」はしていない。死者も出ていない。退避しなかった従業員も無事だ。首都圏は平穏無事だ。こういってきた。いまもいう。(鷲田も副島の実見・判断に同意する。)
 ところがだ。小出は、『現代用語の基礎知識』2015で、「放射能コワイコワイ」をやめない。「メルトダウンから3年」と書く。「コントロールを失った放射能」論を展開している。科学者としての最低のコントロール力さえないのはおまえだろう。
 20日、忽然と、『日本人の哲学』の最終巻の構成が、9と10が逆転して、〈9「大学の哲学」、10「雑学の哲学」〉でなければならない、という判断が降りてきた。靄が晴れた。「一歩前進、二歩後退」、出発だ。