読書日々 1186 頭を殴られた思想家 柄谷と吉本

◆250227 読書日々 1186 頭を殴られた思想家 柄谷と吉本
 1 「お前はどんな本を読んで刺激を受けたか?」と問われたら、ひとまずは、こう答える。
 「理論上」で言えば、第一に、同世代の柄谷行人(1941~)『マルクスその可能性の中心』(講談社 1978)に、先人では吉本隆明(1924~2012)『共同幻想論』(河出書房新社 1968)に、と。吉本は「関係の絶対性」と「共同幻想論」を、柄谷は哲学=「読解法」を明示した。
 2 哲学=読解法は、アルチュセール(学派)が、関係の絶対性はソシュール(学派)が先駆をなすが、静岡短大の高橋洋児は、アルチュセール『資本論を読む』(合同出版 1974)を、せめて英訳で読むくらいはしないと、と脅し(?)をかけてきたので、読んだが、特に齟齬はなかった(ように憶えている)。
 3 ソシュールの紹介と言語論的哲学観の展開は、丸山圭三郎(1933-93)という人を得て、私にも多大な影響を与えたが、残念ながら、丸山の夭折によって、成山の旺盛な活動が「中絶」を余儀なくされた。(その影響ではなかろうが、吉本『言語にとって美とは何か』が「未完」(?)に終わったのも、惜しまれる。)
 アルチュセール(学派)に関して言えば、アルチュセールの「犯罪」を契機に、その影響は尻切れトンボの形になったが、今村仁司(1942~2007)『歴史と認識―アルチュセールを読む』(新評論 1975)以下の労作が、今村の夭折で、市場から消えていったことも惜しまれる。この人と、飛び入りの形で広松渉研究会(?)出席させられたおり、一度会ったときの印象、忘れがたい。分厚い眼鏡をかけた、好男子だった。およそチャラオ風の柄谷とは異なった。
 4 吉本隆明の著作集 ①『吉本隆明全著作集』全15巻 勁草書房、1968~1975 ②『吉本隆明全著作集 続』勁草書房 1978 3巻のみ)③『吉本隆明全集撰』大和書房、1986~1988) 第1~第7巻が刊行(第2巻は未刊行)④『吉本隆明全対談集』全12巻 青土社、1987~1989)は、何を書くにも、繙読せざるを得なかった。⑤私にとっては、吉本と鮎川信夫の対談集(鮎川信夫著作集 全10巻)が、吉本理解(批判を含む)になった。