読書日々 889

◆180706 読書日々 889
酷暑の中、「秘境」で「巡礼締めの会」に出席する
 ひんやりするような朝だ。戻ってきて、体内から熱が放散され、ようやく現状に戻ったようだ。
 1 6/30~7/3までの遠出である。バックを背負っての旅だ。
 初日、新宿は暑かった。定宿が「改築」予定で閉鎖中、西新宿になった。都庁の近く、角筈浄水場のあとで、新しいビル群となっても、昔(40年前)の面影が残っている。ただし、新宿駅まで、歩くほかなく、それにかなり距離がある。羽田からは直通=高速バスで40分、近い。
 『イノベーションの大地 北海道』(鷲田・井上美香共著 言視舎)の発刊・内祝(?)とあいなった。言視舎の杉山さんと待ち合わせ、目見当で、駅近くの「栄寿司」に予約してあった。理由は、旧知の大門の鮨屋が休み、また八重洲にあって長く通った鮨屋と同じ名だったためだった。ここは失敗。大型店(?)だったことにある。お好みでゆっくり飲み喰う店ではない。値段も安かったから文句はいえないが。
 明るいうちに店を出て、杉山さんの知っている「エスパ」(新宿3丁目 野見山さん)にゆく。スナックで、ゆったりしている。ゴールデン街にもこんな店が残っているのといいたいくらい、居心地がとても良い。といっても、すでに酔っている。店主がよく、くわえて客がいなかったので、ゆっくり飲めた。ただし杉山、井上両氏に満足な馳走もできず、心残り。
 2 7/1 早く目覚め、宿を出発。すでに暑い。体調もよくない。いきあたりばったりで、行こう、という心意気だてはある。それでまず、新宿から大宮経由、新札幌までの乗車券を買った。
 新宿(6:? 川越行き)→大宮→宇都宮→黒磯(10:01)と乗り継いだ。宇都宮の一つ手前(雀宮)で、「鷲田先生」と声をかけられた。奇遇だ。須藤(女性)と名乗られた。高校教師(公民)に採用されて、これから赴任先に向かいということだ。顔は覚えているが、巡礼仲間かな?
 黒磯駅から板室に行く乗り合いバスが、12:30までない。呆然。炎天下だ。今回の目的=「曾野綾子が案内する目の見えない人とゆく聖地巡礼の旅」の「締の会」(2泊3日)が行われる「大黒屋」(女主人・みよこ)に電話をして迎えに来てもらう。かなり遠い。黒磯は、新幹線が通るまで、天皇家の御用邸があるとても趣のある駅だった。それがただの観光客用の駅に改築中、がっかり。旧道(?)を通って板室へ。懐かしい。秘湯への道だ。といっても、大黒屋は別天地というべきアートと保養の湯宿である。
 ここに巡礼第15回で初めて参加したメンバーを中心に25名が集まった。20年目に当たる。この巡礼ほどわたしの知見を広めた経験はない。未知との遭遇だった。いちいち名前を挙げるのもはばかれるメンバーばかりだ。巡礼の旅が終了した後も、何回も「締の旅」を行ってきた。「締の会」もみんなが生きているあいだは、続けることができれば、と思える。
 7/3 黒磯(10:26)→新白河(10:53)→郡山(11:39)→福島(12:40)→仙台(13:55)。当初の予定では各駅停車で盛岡まで行き、1泊し、青森まで各停、それから新幹線と特急を乗り継いで、帰ってくるつもりだった。だが、暑いというか、だるい。特に頭がだ。それで、黒磯で仙台発(14:54)の新幹線の切符を買い、新函館北斗(18:11)→新札幌(21:26)とあいなった。疲れたが、時刻表と遊んだ3日間だった。
 3 最新刊共著『イノベーションの大地 北海道』(言視舎 1600円+税)はぜひとも一読して欲しい本だ。こんな「はしがき」を書いた。
「《Boys, be, ambitious. 》これが全体の標語〔キャッチ・ワード〕だ。
 北海道のイノベーションという観点から、あえて極論をいとわず問いかけ、解答を見いだす、という執筆態度を貫く。
1 北海道=ニューフロンティア=革新ではない。重要なのは、「自生」であるか「新生」であるかにかかわらず、「自立」(Independence)力だ。かぎりなく北海道と道民のインディペンデンス力を高める法に焦点を当てる。
2 イノベーションに、大枠、「道外」からと、「道内」からがある。その対比にこだわらない。「外力」が強固な「内力」に転んじる事例にこと欠かないからだ。一見して、「ひ弱」な道民気質を質したい。
3 重要なのは、人間の頭の中を、行動パターンを変えることだ。「古い」ものにも、否、古いものこそ、革新の種になる。その種を見いだす。「不易流行」だ。
4 危機のなかにこそ、危機突破=弁証法/組み替え・構造改革(リストラ)の「鍵」がある。壬申の大乱、応仁の大乱、関ヶ原の戦、明治維新、世界大戦Ⅰ・Ⅱ、高度成長期、バブルの崩壊等は、大変革期であった。日本と日本人は、みごとに諸危機を乗り切って、新しい道を始めた。破壊/創造だ。北海道と道民はどうか?
5 イノベーションは新装・開店を意味するだけではない。古きものを選別・引き継ぐとともに、古いものを整理・処分することでもある。ざっくりいえば、「遺産」の選別であり、「遺物」の処断だ。問われるのは、この選別=処断能力が道民にあるか、否かだ。もちろん、選別は一律ではない。まず迅速・即断の部分を先行し、拙速を避ける部分をゆっくりと追おう。」
 北海道については、人・もの・ことについて、何冊分ほど書いてきたか。集めると10冊分を優に超すだろう。いつも注意しているのは「文学」の目だ。「言葉」の力だ。あたかも「無」のなかに「有」を、そして「有」のなかに「無」を、発見する威力(観察力)である。私的には、ヘーゲルとドラッカーに学んだ力だ。