日本文学やアメリカ文学がある。それを同じように「北海道文学」があるわけではない。せいぜい、北海道の風土や歴史について書かれた文学作品群があるに過ぎない。
本書の書題を「北海道ミステリー文学」などとしなかった理由である。本書はもっぱら、北海道出身あるいは準出身で北海道育ちであるミステリー作家の作品群の紹介を目的にしている。
[toggle title=”目次” css=”book-content”]
序―北海道はミステリー作家の宝庫か?
Ⅰ ミステリーは文学じゃないのか?
Ⅱ ミステリーの嚆矢は函館だって?
Ⅲ 時代小説はミステリーか?
Ⅳ 戦後における北海道のミステリーは「不毛」か?
Ⅴ 量からいっても質からいっても、北海道はミステリー作家の宝庫だ
第一部 戦前―函館生まれの探偵小説家たち
Ⅰ 函館が生んだ探偵小説三銃士
■水谷準 日本ミステリーの草創期を切り盛りする
■長谷川海太郎 「谷譲次・林不亡・牧逸馬」の三人で一人
■久生十蘭 探偵小説を芸術にまで高めたファーストランナー
Ⅱ ミステリーを切り開く
■松本恵子 日本初の女性探偵作家
■渡辺啓助 探偵小説の黎明期を生きた長寿作家
■渡辺温 横溝正史とコンビを組んだ、夭逝のモダンボーイ
■地味井平造 芸術に遊んだ画家の手遊び
第二部 戦後―消えた作家、甦った作家
Ⅰ 「忘却」と「再発見」
■楠田匡介 脱獄トリックの名手
■夏堀正元 影薄い多作な社会派
■高城高 和製ハードボイルドの先駆者
■中野美代子 ミステリー史に名の出ない偉才
■幾瀬勝明彬 戦中派の美学
■南部樹未子 不毛な「愛」のさまざまな結末を描いて
■佐々木丸美 復活遂げた「伝説」の作家
Ⅱ ミステリーも手がけた作家
■伊藤整 考え抜かれた作法で書く
■井上靖 謎解きの面白さと重厚な人間ドラマ
■三浦綾子 鈍るミステリーとしての論理性
■加田伶太郎 純文学作家の見事なる余技
■寺久保友哉 精神科医が仕掛けるミステリー
第三部 現役―日本ミステリーの一翼を担う
Ⅰ 第一線で活躍する作家たち
■佐々木譲 冒険小説から警察小説へ、「エースのジョー」誕生!
■今野敏 「自立自尊」の生き方を貫く
■東直己 日本ハードボイルドの巨艦
■鳴海章 故郷に戻り、新境地を開く
■京極夏彦 世を目眩まし異境に生きる、時代の寵児
■馳星周 異端こそ、日本文学の伝統な潮流
Ⅱ まだまだいる、、ミステリー作家たち
■井谷昌喜 ジャーナリストならではの視点
■内山安雄 陽性のアジアン・ノワール作家
■奥田哲也 得体の知れない毒素を仕込む
■丹羽昌一 中南米の風土に魅せられて
■矢口敦子 ブレイクの秘密
■桜木紫乃 男女の関わりをテーマに
■小路幸也 不思議な浮遊感で描く、救いの物語
■佐藤友哉 二十一世紀に息づく、北海道ミステリー作家の潮流
Ⅲ ミステリーも手がけた作家たち
■原田康子 作家としての原点であるミステリー
■渡辺淳一 心の謎への飽くなき探求心
■荒巻義雄 伝奇色の濃い荒巻的ミステリー
■嵯峨島昭 変態する鬼才の片鱗
■久間十義 ぶれない生真面目な視点
Ⅳ ジャンルを横断するミステリー
■川又千秋 荒巻義雄の流れを汲む
■朝松建 筋金入りのホラー作家
■森真沙子 時代小説に転じたベテラン作家
■宇江佐真理 時代小説界の超新星
Ⅴ ミステリーを評論する
■山前譲 ミステリー評論の正統派
■千街晶之 本格ミステリー批評を目指して
跋―なぜ、函館はミステリー作家の水源地なのか?
一、なぜ、函館から生まれたのか?
二、函館が国際都市であったことの影響
三、出身作家を顕彰する小樽、しない函館
四、作家の営為を吸収し、未来へ生かす
五、孤独な闘いを続ける作家たちに光を
作家名索引
[/toggle]
