読書日々 651

◆131220 読書日々 651
らせん状のDNA  トヨタ生産方式とトヨタウェイ
 12/16 幌東病院へ、2月1回の定期検診。今年は昨年と比べて体調が圧倒的にいい。脚も意志通りに動いてくれる。また自営であったときから20年来脈を取ってくれている野尻先生に新刊を手渡すことができた。
 地下鉄の大通りで降り、検札機を抜けようとすると、赤色信号がともった。パスモが使用超過したらしい。チャージして出たが、1000円札しか使えない。両替が必要だった。でも老人にとってパスモでもたもたする必要がなくなってとても便利だ。アパホテルさっぽろが今日の宿。アリマックス→リソルと10年ほど同じホテルによく通ったが、今度またネストに身売りするそうで、この愛用ビジネスホテルとも今年でお別れだ。
 12/19 『経済の哲学』を書いている。産業資本期で誰をどの企業を取り上げるか、これが問題だ。トヨタ(世界最大の製造業)、統制経済=国家社会主義(奥村喜和男)、武藤山治、三井と三菱、渋沢栄一と決めたが、三井の益田孝も三菱の荘田平五郎も福沢諭吉の直弟子で、おまけに三井の工業派中上川彦次郎は福沢の女婿である。その諭吉は渋沢とともに日本の株式会社の生みの親の一人で、「学商」の名をほしいままにした。
 そうそう荘田は、諭吉が三田(慶応)の土地を詐取まがい同然に東京市に払い下げさせ、元の占有者島原藩有馬家と悶着を起こしたときの諭吉の代理人で、のちに三菱で荘田は彌太郎に東京駅近辺の広大な土地を購入することを奨めた。100年たって三菱「東京」が資本主義期東京の再開発拠点となっている。三田の慶応用地とともに、ビジネスの一大中心地となっている。先見の明というべきか。
 ジェフリー・ライカー『ザ・トヨタウェイ』(日経BP 上下 2004)は名著の誉れ高いが、その基礎テキストが技術端出身で副社長にまでのぼりつめる大野耐一の『トヨタ生産方式』(ダイヤモンド社 1978)である。ライカーは、トヨタ生産方式(TPS)は「トヨタウェイ」とはことなるとする。TPSはリーン(lean)方式でグローバルスタンダードだが、トヨタウェイは「文化」だという。文化は簡単に「移植」はできない。TPSとトヨタウェイ、この2つがトヨタのらせん状のDNA等だという記述は、いま読んでも、否、いま読んでこそ衝撃的だ。
 最近は直木賞作品も読まない。ところが学生時代ずーっと家庭教師をしていた渡部高志君に拙著を送ったところ、長文の手紙が来て、何と珍しいことに桜木紫乃『ホテル ローヤル』(集英社 130113)がとてもおもしろかったという。おおまじめにだ。高志君はわたしの数少ない古い「生徒」で、ガチにまじめだ。内田樹のようなちょっと急進的な考えが好きだといっている。容政府や保守の思想にはいっこうに見向きもしない。わたしから見ると、ちょっと困ったほどにきまじめなのだ。渡部家には10年間かよって、兄弟姉妹に勉強を教えたというより、飯を食べさせてもらったという記憶が強く残っている。その高志君がラブホテル物語がいいという。合気道の達人で、師の代わりに学校に教えに行っているという。何かうれしい気がする。
 合気道とは違うが、空手の道場をもつ作家、今野敏『隠蔽捜査』が1月からTVシリーズに登場する。かつて朝日系でいちどドラマ化されたが、今度は、TBSで杉村哲太(坂崎)と古田新太(伊丹)が同期のキャリア組のコンビとして登場する。2人の性格は真逆で、「隠蔽捜査」を拒んで品川は大森署署長に飛ばされた坂崎の活躍がメイン。哲太と新太は語呂合わせじゃないが、どちらも「じぇじぇじぇ」で再ブレークしている。今野のこのシリーズは、スピーディで、無駄がなく、果断で、切り口が新鮮だ。今野は13年に日本推理作家協会の理事長になった。びっくり。
 年末だ。まだ2週間ある、積み残しはしたくない。そう思っている。