読書日々 824

◆170407 読書日々 824
「聖書」古書店の最終巻
 好天日が続き、今朝は南の雨まじりの強風が吹いて、家まわりの雪はほとんどが消えた。今年に入り積雪が少なかったとはいえ、この時期では珍しい。ギョウジャニンニクが芽吹き始めた。
 1 楽しみにしていた、大沢在昌原作サスペンスドラマ「冬芽の人」(東京TV 5日21:00)を見た。鈴木京香の美貌が、大河ドラマ(真田丸)に「増量」して出演したためか(?)、急激に衰えたのには驚いた。何せ、肝心の目が死んでいる。ま、48というのは潮目なのだろうが、残念というほかない。
 もっとも残念だったのは、事件の発信源である、ダムで廃村状態になったところに住む、謎の人物設定に、まるでリアリティがないことだ。これだけベテラン俳優を集めながらのメロドラマにさえなっていない作品を、なんとよべばいいのか。鈴木京香の美の衰えに文句もつけたくなる理由だ。
 2 家郷(厚別)に戻り、仕事場=居室を移し、運転免許を放棄し、いよいよ人生の最終コースに入った。ただし家人がせっせと整理移転に励んでいるのに、こちらはいっこうにエンジンがかからず、仕事場のモニターとTVの前を行き来しているにすぎない。
 整理といえば、曽野綾子さんが、三浦先生の死去の挨拶とともに、2冊の本を贈ってくださった。一冊はご夫婦の共著『我が家の内輪話』(世界文化社 16.4.20)で、もう一冊は曽野『人は皆、土に還る』(祥伝社 16.11.10)だ。拝読したい。三浦先生と巡礼旅行中、お姉さんと曽野さんが、ともに三浦先生をかたや案内係かたや荷物運びとして重宝していた。「二君に仕える気持ちは分かるか!」といわれたが、その「シュモン!」と連発するお姉さんの黄色い声も、三浦先生の甲高い声も、記憶のなかに根を下ろしている。
 整理していた妻が昨晩差し出したのは、最後の「巡礼」(2010)とアメリカの大学取材旅行(2000 『ダイヤモンド』連載)のチケット類だ。ちらっと見たが、額の大きさにあらためて驚かされる。それでも、ススキノで呑むより安上がりだ、と妻に笑われたことがある。ま、性癖として、安いところしか出入りしなかったのだから、要は、回数×時間の長さであったに違いない。
 3 鮎川信夫『黒いトランク』(光文社文庫)を読んだ。本格ミステリの代表作品であるが、立派なハードボイルドでもある。謎解きの奇妙さとともに、主探偵(刑事)二人の言動が、敗戦直後の西日本を舞台に、激しく移動するのだ。ところが主役の鬼貫警部は、TVでは、家族持ち、糖尿病の持ち主というだけでなく、まさにコメディ化され、原作の香りは、アリバイ崩し(ただしTVでは再現が難しい)の名手であるという点を除いて、まったく消え、くさい臭いが漂ってくるのだ。ま、ドラマをちがうものとして見ると、主演の大地康雄の「鬼面」だけが前面に出てくる。鬼貫は、島鬼貫(俳人)からとったので、TV連作「鬼貫八郎」とは別人だろうと思ったら、許せる。だが、このドラマが鮎川作品を読まなかった理由なのだから、ちょっと、許せない気持ちが湧くのもしかたないだろう。
 4 いま『日本人の哲学名言1000』を書いている。締め切りは、ゴールデンウイーク直後で、六割かたできたのだから、進捗状況はまあまあだといえる。だが、わたくし感では、あまりよろしくない。仕事はほとんど午前中で終えているからでもある。それにいま、三上延の最終巻がある。これが誘惑するんですね。