◆171027 読書日々 853
未刊の梅棹自伝、どうにかならないのかな!?
政治の「一寸先は闇」だ、とはよくいわれる。安倍首相が選挙に打って出たときと、選挙結果とは、180度違った。自民だけが圧勝。じゃあ、安倍政権は安泰か? それが面白いことで、「明日がない」。この点で、長期か短期かは別にして、プーチンや習と変わらない。ならば、やりたい(放題の)ことをやったらいい、といいたいが、それができないのが安部さんの限界だろう。否定していうのではない。民意に耳を傾ける民主政治家だからだ。ただし、鳩山のように、できもしないことを約束するだけの政治家ではない。
1 拙著最新刊『最終版・大学教授になる方法』(言視舎 1500+税)を手にした。この就職絶好期に、あえて就職を延期し、大学卒後10年間、研究に専念し、大学教授職(job)につき、大学を変え、日本を変えてほしい。そういう想いでこの本を書いた。最も変わるのは自分自身である。それに死ぬ(brain-death)まで研究(work)を続けることができる。かなり良質な「生き方」(lifestyle)の奨めでもあると思える。お子さんやお孫さんに勧めることができるのではないだろうか。
2 ヒルティの『幸福論』(秋山英夫訳 角川文庫)の「解説」を頼まれた。ヒルティ『人生論』との合冊新版だ。幸福論のビッグ3といえば、プルタルコス『モラリア』と幸田露伴『努力論』と、ヒルティ『幸福論』(全3巻)だというのがわたしの評価だ。『モラリア』は全訳化が京大出版会で進行中だが、分冊でかなり文庫本化されてきている。ただし「人生相談」とでもいえるこの本を、大まじめで訳しているのは、どうなのだろう。
ヒルティ『幸福論』は露伴の著作と同じように、幸福になる「方法」=技術を簡単明瞭に示す、ハウ・ツ本だ(でもある)。その意味で、日本人に、いま現在、最も必要な本であるに違いない。えっ、幸田露伴が、ハウ・ツ本を書いているって、などと驚いちゃいけない。普通文章論や少年時代小説まで書いているのだ。
3 頭の隅にいつもあるのは、梅棹忠夫『人生の設計』の原稿だ。20世紀末、民博で、2日間、ロング・インタビューしたものを、原稿にしたもので、「なぜか」出版にはならなかった。梅棹さんには、自伝とよべる『裏返しの自伝』と『行為と妄想』があった。『人生の設計』を定稿にすべく、およそ数ヶ月、自分の仕事を放って奮闘した記憶がある。いま読んでも、実にリアルで、このまま埋もれさすのはもったいない。どなたか、出版に奔走してくれる方はいないだろうか。
敗戦後、日本人の思想家で、オリジナルな考えを連発した人といえば、吉本隆明と梅棹忠夫だ。この二人、何から何まで似たところがない。梅棹は、文明の生態史観、情報社会論、知的生産の技術という、3大発明をした。東大創設と肩を並べる、民族博物館(大学であり巨大情報技術機関)を創設した。その知的原動力は、コンピュータを使わずに、コンピュータ技術=思考を活用したことにある。それに、随所で披瀝される、今西錦司、高橋和巳、司馬遼太郎等々の人物描写のうまいこと。
4 しぶとく、鮎川哲也のセレクト本を手にしている。読むときは寝そべる。座布団を敷いて、肱を立てる。当然しびれる。バタッ、と俯せになり、メガネが眼球に張り付き、読行不能になる。およそ50頁くらいで、仕切り直しだ。こんな具合に、マンションの暗い一室で、終日を過ごしている。
26日、新刊を手にした喜びもあって、2週間ぶりに街に出た。「きらく」は千客万来という格好で、満員の盛況だった。狸小路には、チャイニーズ(?)が連なって群れている。10月の末という季節感がよく出ている。風邪気味。「タパス」で葛根湯をもらう。