読書日々 869

◆180216 読書日々 869
平昌には「魔物」が棲まない!?
 14(水)、ひさしぶりに街に出た。20日ぶりか。地下鉄でだ。夏はゆっくり歩いて20分でひばりヶ丘駅まで着くが、冬はそうはゆかない。ま、寒いし、街も人通りが少なく、店も客がいない。3軒はいって、飲むだけで、10時に迎えを頼んだ。
 1 井上さんとの共著、「北海道のイノベーション」、わたしの担当部分、人・事業・地誌(120枚)を書き終えた。かなり時間がかかった。それに資料というか、文献が手元に「ない」。最大の参照文献は、自著やノートだ。ひとまずはパソコンに入っている。それやこれやで、北海道のさまざまなテーマについて、おどろくほどの量を書いてきたことに気がつく。
 やはり新聞連載が大きかった。とくに「日刊ゲンダイ」(さっぽろ版)に10年余、2012年末まで、コラムその他その他を書かせてもらったのが大きかった。週一連載のメインのコラムは、一度も休載しなかった(500回分)。毎週、社会新報・毎日(変化球)・読売(空知面=馬追日記)東京(大波小波)新聞・日刊ゲンダイ(さっぽろ版=一刀両断等)をあわせると、平成史(前史を含む)の「断片」を切り取った、面白い読み物(私史)になる、と思える。この時代、先進国は、生産中心から消費中心社会への大転換期で、高度情報ネット社会に一気に突入し、しかも未曽有のデフレ基調経済に突入した。それが30年以上続いているのだ。1970年代までの生産中心社会・インフレ時代とは異なる。ファーストステーリング(ユニクロ)やソフトバンク、それに日本電産が世界企業になってゆく。
 そのうえ、北海道の重要テーマ(政治家・思想家・文学・時代小説・ミステリ・遺宝等)を連載させてもらった。鈴木部長の好意もあったからだ。この間、私設助手の井上(美香)さんは、指示するテーマを一度も拒まず、日刊ゲンダイに執筆し、腕を上げた。奇跡のようなことに属する。物書き(プロ)の誕生だ。
 それにほとんど整理していないし、読み返していないが、『北方文芸』の8年分は、貴重だ。連載もあるし、「埋め草分」だけでも、かなりの量になる。全部、ボランティアだが、貴重な財産になった。なによりも大きかったのは、広瀬さんや東さんたちとのであいだった。もうずいぶん遠いことに属するようになったが。
 2 平昌は、全13道の1つ、江原道平昌郡(平昌邑+7面)のことで、面積1463km2(ちなみに札幌市は1121km2)、人口4万( 2013年)の小都だ。準備段階から不安面をいわれ続けてきたオリンピックは、むしろ順調で、いろいろ難癖をつける人たちがいるが、その注文は当然としても、難しい事情を抱えた韓国のことだ。平常心で見てもいいのではないだろうか。むしろ運営面は細やかで(慎重しすぎ)、観客も多く、熱心だ。あの深夜を越す女子スキージャンプでも、寒風吹きすさぶ冷気(冷凍庫)のなかで、多くの人が居残って声援を送っていた。
 このオリンピック、番狂わせがほとんどない。「勝つべくして勝つ」が結果に出ている。日本選手も、まだ金メダルは取れていないが、実績のある選手が、その実力を遺憾なく発揮し、メダルを獲得したり、入賞している。この「結果」だけを見ても、運営の「勝利」といえるのではないだろうか。番狂わせ続出した、リオの夏季オリンピックとは断然違うところだ。
 さて今日は、羽生や宇野がショートに登場する。日本人にとって、小平の500やパシュート、渡部の複合ラージヒルと並んで、最大ハイライトを迎える。スポーツは、応援する選手やチームが勝たないと、面白くない。その通りだが、まずは力を出してほしい。そう強く思える。
 3 2019年は鮎川哲也の生誕100年に当たる。ミステリ研究家の山前譲さんに手紙を出し、鮎川論の執筆を依頼した。努力したいという好意あふれる返信をいただいた。中相作さんの乱歩論もまもなく出る(言視舎)。楽しみでたまらない。