◆180907 読書日々 898
震度7 電力を造るための電力
1 6日未明3時直後、大きな揺れに襲われた。暗闇で事情が分からないが、地震だ。携帯に概要だけ、警報が入った。まずカーテンを開く。隣のマンションに灯がついている。電気はつくのだ。廊下に出ると、隣室の住民に会う。妻は管理人も兼ねているので、すでにあれこれやっているようだ。TVをつけると、震源地は安平(横が厚真町)で、近い。直の放送では、震度6強、かなりのものだ。わたしの部屋でも多少の被害は出たが、電気がつくのだからとほっとしたのもつかの間、灯がプツンと消えた。何度かかなりの揺れがきたが、……。電源が断たれた。とにかく明るくなるまで待つほかない。
最初に、安否を尋ねてくださった方々に、お礼を述べたい。まだ三半規管が正常に戻っていないのか、機器が上手く(スムースに)操作できかねる。とりあえず、岩崎、井原、山田さんにお礼。携帯メールで情報を寄せてくださった方がた、またスマホ・PSメール(6日夕方に電気が戻るまで確認できなかった)をくださった方々には、後ほど対応させてください。息子が同じ建物にいるので、こういうとき大いに助かる。お盆の代替休暇中であった。わたしは足手まとい。部屋に盤踞するほかない。ま、普通の日と同じだ。ミステリを1冊読むことができたが。
2 「震度7、北海道胆振東部地震」と命名された今回の地震は、震度数7以上では全国7番目で、北海道では初めての数値だった。1952年、まだ小学生のとき、十勝沖地震にであった。3月の寒いときで、授業中にぐらぐらと来て、まず机の下に、そして先生について脱兎の如く待避した。校舎のレンガ煙突がみんな倒れた。大通り(?)が地割れした。雪で家(小屋)が潰れ圧死者が出た。それ以来の大きさの地震の経験だ。
3 今回の地震の特徴は、全道の電力が一瞬にしてストップしたことだ。新聞は、「需給崩れ」だと報じた。事の本質はそんなことにあるのではない(と思える)。最新刊『イノベーションの大地 北海道』(井上美香共著 言視舎 18.6.30)でこう書いた。(是非一読を乞う。)
〈北海道の電力源は、①ダム(水力)と②石炭(火力)が主力だったが、エネルギー革命〔イノベーション〕の結果、水・石炭・③石油・④天然ガス・⑤原子力⑥新エネルギーへと多様化している。その全発電能力は七五八万kw(2013年)で、①水力一二三万(16.2%)、火力四二一(55.5=②60[7.9]・③④154[20.3]・⑤207[27.3])そして⑥新エネルギー2.6[0.3](地熱2.5)だが、⑤原発(泊)は二〇一八年現在も再稼働していない。
◇情報=電力社会
忘れてならないのは、日本でも、先進国でも、エネルギー消費量全体のおよそ四割近くが電力生産のために用いられている、という事実だ。それに高度情報=消費社会(生産の七〇%以上が個人消費を目的とする)といわれる。たしかに省エネの時代だ。最新のTVや冷蔵庫の電力消費は、二〇年前と比べ、五分の一以下になった。じゃあ、電力消費量は減るか? そんなことはない。企業活動も、個人生活も、社会のほとんどの分野は、すべて「電気」とつながれている。電気に支配〔コントロール〕され、ハイテクであれローテクであれ、電気なしには動かない。
情報社会は、安定的で良質な電気エネルギーの供給を要求する。「夜の町」は電気がストップすると、お休みになる。情報社会は、電力供給が一瞬止まっても、一瞬で「情報」が失われ、企業活動はストップし、公私にかかわらず、社会活動が麻痺し、大変な損害〔ロス〕を招く。
「セーフティネット」とは各所で便利に使われる言葉だが、まさに情報=ネット社会の危機管理策のことで、わずか一カ所の部分的な編み目のほころび(ブレイク)が、全ネットの死命を制する危険をはらんでいるのだ。じゃあ、そんなやっかいなネット社会を捨てればいいのか? そんなことはできない。人間社会は、新しいセーフティネットを生み出し〔イノベート〕続ける以外に、この危機を乗り越えることはできないのだ。〉
今回の地震で、北海道のセイフティネットの中核を占める電力が一瞬にしてブレイク・ダウンした。問題の中心は何か。電力を造るためのエネルギーに電力生産の4割が使われていることだ。これが日本の実情だ。その電力生産の火力の中核(③④)が苫東厚真発電所(現在165万キロワット)で、震源地に近接していた。石油・ガスが発電エネルギー源で、全道発電能力体の20%を占める。そこが緊急停止したのだ。ために発電のための電力が一時的にストップする。これを代替したのが、石炭エネルギー(② 砂川)発電だった。(結果わたしの所にも電力が戻った。)
北海道は、水・石炭・石油・天然ガス・原子力にバランスよく発電源を配置してきたが、⑤が稼働中止もあって、このような事態になった。この事情は他地方でも同じだろう。発電所を稼働させるエネルギー、この問題が問われたのだ。
4 ただしくれぐれも、ローエネルギー、「スモール・イズ・ビューティフル」などという、きれい事を言って、できもしない・やる気もない迷妄に陥らないように願いたい。