読書日々 928

◆100405 読書日々 928
トランプの強敵が現れたよ!?
 1 新元号は「令和」になった。出典は「万葉集」だ。万葉集といえば、二つのことにおのずと思いがゆく。一つは、斎藤茂吉(1882~1953)『万葉秀歌』(岩波新書 赤版 上下 1938)であり、もう一つは教養課程時代の犬養孝教授の授業(国文学)であった。
 万葉秀歌は、なぜか、表紙がほとんど欠けた「初版」上であった。旧書庫に残っているはずだが、手元にない。なぜこの本(古本)を買ったのか、はっきりとは思い出せない。ただし中野重治につながってくる。犬養先生の授業は興味があったので一度だけ出たが、一斉に歌を「合掌」し出すので、歌声サークルかあるいは新興宗教の類かと思い、このときを最初で最後にし、御免被って、一人で万葉集で歌われた大和各地を歩いて回った。ただし
 近江の湖夕波千鳥汝が鳴けば心も萎(しぬ)に古(いにし)思ほゆ  266
 の古都近江は天智が即位し建てた新都だ。大和や難波等から離れている。残念ながら、琵琶湖の西を歩き回ったことはなかった。
「茂吉はいまや廃墟となった古都への哀感を歌ったと読み解く。そう納得してきた。だが折口信夫は、古都とはつい二十年数年前、しかも人麻呂がこの歌を捧げた持統(天武皇の妃)が壊滅させた地だ。何でこんなと鄙に都を移したのか、気が知れない」というため息交じりの歌だと解する。わたしは折口フアンだからというわけではないが、折口に手を挙げる。(『日本人の哲学 2 文芸の哲学』言視舎 2013で詳しく書いた。ただし、新都建設は、大和旧勢力から離れ、唐の侵攻を防ぐ等の政略理由があったと思われる。)
 日本人の関心を引いたのに、この元号、だれが推したのという議論(?)がある。興味本位がほとんどだ。それを否定したいわけではないが、万葉学者の中西進以外にいない。バレバレで、国書から元号なんて、という漢学者の反感が強いのだ。
 「令」にはちょっとびっくりした。わたしがすぐに連想したのは養老「律令」で、「令外」官だ。「リョウゲ」とよむ。なるほど出典の重要さは、読みや意味と連関するからだ、と気づいた。「国書」で、身分に関係なく選んだ「万葉集」、その序文を出典にし、歌意も「初春令月 氣淑風和 梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香」で、新しい出発を言祝ぐ歌意だ、がいたく安倍首相の意を捉えたそうだ。そんな心意を表明しなくてもいいのに、つい口に出る。この日、一番うれしかったのは安倍さんだったようで、安倍ちゃんといわれる理由だ。
 2 ジャーナリスト、木村太郎の言説を聞いていると、アメリカ理解のエスプリが分かる。その先駆者が、鮎川信夫だ。
「米国は頂上だけを見ていたのでは分からない。ワシントンやニューヨークのメディアだけに頼っていては、なにも見えてこないに等しい。『合衆国はいつもそうだが、民衆に最も直接的な関係のある論争は地方の水準に降りてゆくが、これが頂上の方にのぼってゆくことはない。フランスとは正反対の政治の動き方なのだ。』〔ギ・ソルマン『レーガンのアメリカ』」。むろん、日本とも正反対である。」(週刊文春連載「時代を読む」)
 鮎川の伝法を継ぐかのように、木村は地方の(もちろん中央のも含め)水準にまで降りて政治の動きを観察し、分析し、発信してゆく。トランプの登場と、その勝利(結果)を日本で唯一予言し、その政治行程に従って逐一発現、検証しつづけててきた。トランプの「ロシア疑惑」が払拭されたこのとき、今度は木村はトランプが再選で敗れる可能性ありとする民主党候補者を嗅ぎ出してくる。
 木村は「理屈は後から考える。それは、やはり民主主義とは思惟の多様性だと思うからです。考え方はいっぱいあった方がいい。違う見方を提示する役割、それが僕がやってきたことで、まだまだ世の中には必要なことなんじゃないかとは思っています。 」と「ノン・フェイク・ニュース」の鏡でで書く。その通りで、最新のニュース(4/2)は、
「混迷する米国民主党の大統領候補選びの中から異色の新星が飛び出してきた。
 民主党から次期大統領選に出馬を表明しているのは20人前後に上るが、候補者選び最初の山場の党員集会が開かれるアイオワ州で、世論調査では定評のあるエマーソン大学が先月21~24日に行なった世論調査では、ジョー・バイデン前副大統領の25%、バーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)の24%に続いてピート・ブーティジェージという候補が11%の支持率を獲得して3位につけ、選挙の玄人たちをびっくりさせた。
 ブーティジェージ(Buttigieg)氏はインディアナ州のサウス・ベンドという町の市長で37歳という若さ。確かに今年1月に大統領選への出馬を表明していたが、国政の経験もなく、マイク・ペンス副大統領の地盤で伝統的に共和党州として知られるインディアナ州の人口10万人前後の都市の市長とあって「1%候補」つまり支持率1%ぐらいの泡沫候補と考えられていた。
 世論調査で一位のバイデン氏、二位のサンダース氏は知名度は高いものの、それぞれ76歳と77歳と高齢なので最終的には若手が民主党の候補者として選出されるのではないかという観測が根強い。
 その若手としてカマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州選出)やコーリー・ブーカー上院議員(ニュージャージー州選出)それにハリウッドのスター達に人気のベト・オルーク前下院議員(テキサス州)が有力視されていたが、彼らを抑えて無名同然だったブーティジェージ市長が実質的に若手のトップに立つことになったのだ。
・7か国語を操る才人のユニークな経歴
 そこで、各テレビ局のニュース番組が急遽ブーティジェージ市長の人となりを紹介し始めたが、その経歴は難しい名前の読み方同様にやはりユニークだ。マルタ島からの移民を父に持ち、インディアナ州の高校卒業後ハーバード大学に進学し同大法学部の学生代表となり、卒業後はローズ奨学金で英国のオクスフォード大学に留学した。帰国後米海軍に応募し、アフガニスタン戦争にも従軍している。2011年に29歳でサウス・ベンド市の市長に選出されると米国でも最悪という定評のあった同市の財政を立て直し、2013年に「今年の市長」に選ばれている。
 マルタ語のほかスペイン語やノルウエー語など7カ国語を操り、ピアノ演奏にも長けていて地元のオーケストラと共演することもある。また、自らゲイであることをカムアウトして2015年に男性の・パートナーと結婚している。
・建前にとらわれない姿勢が人気
その主張は、皆保険制度や環境保全、銃規制など民主党の政策に沿ったものだが、違うのは党内支配層を批判するのを躊躇しないことだ。ワシントンポスト紙のインタビューでは、ヒラリー・クリントン元国務長官についてこう言っている。
「ドナルド・トランプは、ねじ曲がった言い方にせよ米国は経済的にも民主主義的にも大きな問題を抱えていることを指摘したから当選したのだ。彼はヒラリーのように米国はすでに偉大だと言って問題と向き合うのを避けなかった」
・ジミー・カーター大統領
 こうしたブーティジェージ市長の建前にとらわれない姿勢が人気を呼んでいるようだが、1976年に民主党主流派の混乱の中から抜け出した当時無名のジミー・カーター大統領を思い出させるものがある。
 もし同市長が民主党の候補者に選ばれトランプ大統領を破ると、米国史上初の30代の大統領、そしてファースト・レディならぬファースト・ジェントルマンを伴った大統領の誕生ということなる。
」だ。
 さあどうなるか? 4/4のBSプライムニュースで、木村氏の弁舌を聞いた。意味深だね。討論者のデープ・スペクター(??~)のバカさ加減が痛痛しい。