◆210611 読書日々 1042 「正義」は国を滅ぼす!?
過日の大雨風で、せっかくベランダに植えてくれた茄子苗の大鉢が、2つとも倒され、土もろともに排出された。すぐに補修されたが、3日続きの好天で、あっというまに萎んでしまった。茄子は大水吞みである。大漏斗の水2杯で、すぐに元気を取り戻したようだ。
成長した茄子は、第1に姿が大きく美しい。もうそれだけで長く観賞に堪えうる。そして青紫の花がつぎつぎに花を開く。これまた好ましい。ただし摘果が重要だ。つまりは観賞用ではない(というのが残念)。その上、実が日々に大きくなり、巨大化するほど美味となる。わたしは茄子も胡瓜も好物だが、ともに夏の夜の美味を競う酒の友だ。でも、今年は出鼻をくじかれてしまった。満足に育つか、花を咲かすか、実を結ぶか。危うい。
1 韓国版、大長編「復讐の女神」の最後は、もう破れかぶれ、はちゃめちゃ(破茶滅茶)であった。「正義は水のように流れる」体ではなかった。ま、クリスティの「ミメシス」の「正義」もご都合主義ではあったが。
2 そもそも「正義を売ってはいけない」。つい最近(?)、こう書いた。『季報唯研』(2019・秋号)の特集「世界の〈今〉を読む:この一冊」 山本夏彦『わたしの岩波物語』(文藝春秋 1994)でだ。その冒頭だ。
〈1 「まじめな人、正義の人ほど始末におえないものはない」。「人は困れば何を売っても許されるが、正義だけは売ってはならない」。
本書冒頭、著者山本の変わらない主張だ。なぜか。
「汚職は国を滅ぼさないが、正義は国を滅ぼす」。
五・一五、二・二六事件で、血盟団や青年将校は犬養総理や高橋蔵相を殺害した。理由は、総理が満州事変に反対し、蔵相が陸海軍の予算を削りに削ったからだ。だが当時の新聞は(もとより朝日も)、今と同じく毎日のように「政治の腐敗を難じたから読者は信じた。」暴力はいけないが、青年将校の「憂国の至情は諒とする」と書いたから、読者も諒として、減刑嘆願書が全国から集まった。これにくらべれば十億や百億の贈収賄なんて、ものの数ではない、たかが紙屑である、汚職は国を滅ぼさないが正義は国を滅ぼす。
2 「今も昔も大衆は正義が大好きで、政財界の不正をあばくと自分は正義のかたまりになった気がするから新聞はそれに迎合する。……
岩波は朝鮮戦争は韓国が仕掛けたと言った。ハンガリー事件のときはソ連の肩を持った。中国には蠅は一匹もいないと書いた。文化大革命を支持した。……。社会主義は善であり資本主義は悪だから、サギをカラスと書いてもちっとも悪くないのである。
戦後の岩波の歴史はミスリードの歴史であること朝日新聞に似ている。」
ちなみに岩波は、世界共産党(コミンテルン)の密使ゾルゲとともに日本敗北の先兵となった尾崎秀実(朝日新聞記者)が「南進論」を説いた『現代支那論』(岩波新書 1939)を再刊(1983)し、敗戦直後、尾崎を「平和と愛の人」として持ち上げた夫妻の往復書簡『愛情はふる星のごとく』(1946)の新編(2003)を出した。〉
3 ところで、「湾岸戦争」には「大義」がない。米(=ブッシュ)はイラク侵攻の「理由」とした「大量破壊兵器」の存在を立証できなかった、ということを理由にしてだ。当時、「自衛隊」の海外派兵を決定した小泉首相は、この発表で、「窮地」に追い込まれた。このとき、すでび飯島は小泉(議員秘書→首相秘書官)のブレーンだった。
ところが、先日の「プライムニュース」(BSフジ 6/7)で、出演者の飯島勲(内閣参与)は、「大量破壊兵器」を米軍は見い(掘り)だした。ところが、それは米軍がイラン・イラク戦争時、イラクに与えた米国製ミサイル等であった。だから米は大量破壊兵器の「存在」を公表できなかった(闇に埋めてしまった)、と。
飯島参与は、湾岸戦争時、「大義のない戦争」など許しがたいという政府批判に対して、「反論」しようとしたのか、それとも、ぽろっと口から滑り落ちたにすぎないものか?
しかしそもそも戦争の「大義」などとは何か? 「正義」の戦争などあるのか? もちろん、わたしは「絶対平和主義者」ではない、が。政治学と哲学の最大難問の一つだ。