知的読解力養成講座(言視舎)

知的読解力養成講座

あとがき
1 わたしは、大事なことは、大小にかかわらず、親をも含めて「他者」に相談しない。こういう性癖(habits)で生きるのを常としてきた。それで、しなくてもいい失敗を重ねたといっていい。
  それでも、迷路に踏み込むこともあったが、その誤りを多少とも克服することができたのは、「本」があったからだ。そうそう、「本」を読んで、誤読を含め、間違いを犯すことも多々あった。だが、その誤りを訂正することができた(と思えた)のも、「本」を読み、理解し、判断してきたからだ。
  「読書」(書を読む)は「余暇」ではない。「仕事」に熟達し、「人生」を豊かにすごすのに欠かすことができないものなのだ。
  そんな?! むしろ逆で、仕事に熟逹し、人生を豊かにするためには、面倒くさい書を読み解するなどは、よけいで辛気くさいことにすぎない。こう考えている人が多いだろう。そうではない、と強くいいたい。
2 「人間」とは何か? 人間はどうして人間以外のものから人間になったのか? 自立した人間になるのか? 他でもない、「ことば」をもったからだ。「ことば」を自在に使うこと(読み解し書く)ができるからだ。
  つまり、「人間」とは「ことば」であるということだ。人間は「ことば」によって「仕事」を、そして「世界」(世間)をよりよく知りかつ理解する。
  「ことば」によってできあがったものが「本」(book paper)というものだ。「本」を通して、仕事を、人間を、人間世界を読みかつ理解する。それが人間業〔アート〕だ。人間の「本質」といっていい。
  これが「本書」を書いた理由だ。この思いが皆さんにすこしでも通じれば幸いだ。(78歳を直前にして)

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